イギリス、EU離脱に伴う決済業界への影響


business insider
■目次
【イギリス】EU離脱に伴う決済業界への影響
【アメリカ】Apple Payのウェブ版を公開、PayPalを追随
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【イギリス】EU離脱に伴う決済業界への影響
Brexit’s impact on payments
http://uk.businessinsider.com/brexits-impact-on-payments-2016-6
Visa ヨーロッパの買収完了、全世界で年間約6兆8,000億ドルの決済処理を可能に(Visa)
http://www.paymentnavi.com/paymentnews/58263.html
ビジネスインサイダーが下記の3点で決済業界への影響をまとめています。
・米ドルが強くなり、米ドル以外での通貨が使われることによって、米ドル換算での世界でのトランザクションボリュームが減る。
・一時的に通貨の乱高下があるため、送金業者が儲かる。
・EU基準で設定されていた、イギリス国内のカードのIRF(手数料率)が変わる。(上がる方向に動くだろう)
特に1個目は、円高が進む日本も同じはずで、毎年報告されている日本円換算のクレジットカードトランザクションボリュームが一時的に減少するかもしれません。
【アメリカ】Apple Payのウェブ版を公開、PayPalを追随
http://jp.techcrunch.com/2016/06/14/20160613apple-takes-on-paypal-with-apple-pay-on-the-web/
もうちょっと古い話題ですが、要はiPhone上でのWeb決済が、Touch ID=指紋認証でできるようになる、という話です。
これは結構インパクトがある話で、普及させるのにリアルだけだとどうしても加盟店に端末を入れて回る必要がありますが、オンラインであればすぐにリプレイスができます。
ユーザーとしても毎回新しいWebサイト/ECにカード番号を入れる手間も省ける。
課題としては、Apple Payユーザーの利便性のためだけに決済モジュールを変えるECがどこまで対応するか?ですが、見知らぬECにカード番号を入れたくない層を囲うためにApple
Pay対応する新参プレーヤーは結構いそう。
国内への影響ですが、いつリアルApple Payがスタートするかにも寄りますが、よりApple Pay普及のネタになることは間違いありません。
AmazonはID Paymentという似たような戦略を取ってるので対応しないと思いますが、例えば楽天なんかがアクワイアリング戦略込みでApple
Payを担いだとしたら、一気に市場が変わります。
GMO-PGもリクルートのAirレジと組んで、AliPayを担ぎだしているニュースもありますし、ネット側のプレーヤーが担いで広げる、というシナリオも考えられます。
リクルートライフスタイル、「モバイル決済 for Airレジ」で小売業や飲食業を支援
http://www.paymentnavi.com/paymentnews/55420.html
しかし、AliPayと違って、ApplePayは、主要な複数の(できれば全ての)イシュアと組む必要があるので、1社だけが抜け駆けする、という構造は難しいかもしれません。
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自動運転タクシー 2020年までに実用化へ


■目次
【日本】自動運転タクシー 2020年までに実用化へ
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【日本】自動運転タクシー 2020年までに実用化へ
http://blogos.com/article/176245/
オリンピックに向けて、政府が自動運転の法律のハードルを下げるために各所で色々と動き始めています。
現状は、ジュネーブ協定で運転を制御できるドライバーが乗らなければなりません。
「「完全自動運転」認めず 警察庁 公道実験で指針」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016052602000262.html
警察庁も、まだ「完全自動運転」は認めておりませんが、ただ下記のようにレベルを段階分けしていて、状況に応じて規制がなくなっていくと思われます。
> 「完全自動運転」(レベル4)から、操作が原則自動で必要時に運転者が担う「準自動運転」(レベル3)、制御や加速、ハンドル操作のうち複数が自動の「準自動運転」(レベル2)、制御など一部機能が自動の「安全運転支援」(レベル1)の四段階に分類している。

実現されるのか?

総務省が予算をつけたり、実験のためのハードルがどんどん下がっているのは好ましいのですが、肝心の技術はどうなのか?
ここでは2020年の「完全自動運転」(レベル4)を目指して、ということを前提にしますが、一番実験が進んでるのはGoogleで、既に3月までに150万マイルを走行しているとのこと。
「無人走行するクルマはできるのか? Google自動運転車が直面している課題」
http://ventureclef.com/blog2/?p=3117
しかし、このブログでも書かれている通り、人間レベルの安全基準を保証するには、2.75億マイルを無事故で走る必要があり、単純計算するとあと12.5年かかるそうです。
やり方としては、車の台数を増やして年次を減らすのか、安全基準を別の方法で証明するのか、ここに新しい発想がないと2020年の実現は難しいような気がします。

実現されるとどうなるのか?

まずその時の決済はどうなるのかを考えてみます。
Uberのようなスマホでの事前決済なのか、セルフレジっぽい対面決済なのかは微妙ですが、いずれにせよ現金払いはできなくなる可能性が高いです。
あるとしたら、自販機を各車に置くのか。
自動運転タクシー専用のプリペイドカードも出てくるかもしれません。
2020年ということで考えると、都内の2,3割が自動運転タクシーになり、そのうちの3割位が現金対応タクシーになるのではないでしょうか?
いずれにせよ、現金非対応タクシーのため、そしてタクシーだとカード決済に時間がかかる問題がなくなるため、タクシーでのカード払いは劇的に増えそうです。
そしてタクシーができるんだったらレンタカーも、ということで自家用車もかなり減る思います。
そうなると、自動車保険やらタイヤ・ガソリンスタンド等の車関連市場の決済も減る。
もしかしたら自動運転に乗った時の生保みたいな新市場は出てくると思いますが、既存の市場規模からすると小さくなりそう。
また、車内のエンタメ用途の決済が増えるでしょう。
運転しないと暇になるんで。
iTunes in Carとか、プレステ in Carのようなものでネット決済が増える。
Google/Apple/Amazon/NetFlixといった家庭内エンタメを握ってる会社が、車内についての覇権も握るかもしれません。
国内だとAbema TVがうまくいってるサイバーエージェント等も注目株になると思います。
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ブロックチェーン技術のKYC(本人確認)への応用

■目次
【日本】リテール決済カンファレンス「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」
【中国】激戦の中国モバイル決済、アリババ追う武器は
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【日本】リテール決済カンファレンス「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160526b.htm/
「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/data/rel160526b8.pdf
※KYC=Know Your Customer
先日、日銀主催での決済のカンファレンスが行われましたが、その中でも「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」が目新しいものでした。
要は、ブロックチェーン技術を使って、各金融機関のKYC済み個人情報を共有しよう!という野心的な試みです。
CEOの武宮誠氏、はもともとプライベートブロックチェーンのMijinでCTOをやっていて、国内のブロックチェーン技術者では随一と評されている人です。

実現されるのか?

言ってしまえばCIC(信用情報機関:http://www.cic.co.jp/)の代替にもなり得るわけですが、CICの始まりを鑑みても、なかなか一企業がやるのは厳しい気もしています。
CICも、法規制で地方に散らされた割賦販売→消費者金融が共通のDBを持ちたい、ことから始まり、そこから流通系(特に百貨店)、銀行系の信用情報機関を合併してできあがっています。※CICの歴史はあまり自信ない
やるとしたらはじめから多くの金融機関・ノンバンクの寄り合い状態を作れないと国内では広がらない。
しかし、寄り合い状態を作る=多くの株主を持つことになるとベンチャー企業のやり方ではかなり厳しいと思います。
実際、CICも金融庁と経産省の両方に指定を受けており、監督官庁がまたがってる時点で難易度がかなり上がります。
あるとしたら、それこそ金融庁or経産省or警察庁が社団法人なり団体なりを作って、そこの専属ベンダーとしてやる感じかなと。
ただ、そういう官庁が新参の一企業にそれを任せるか?(NTTデータならまだしも)と言われるとそれも想像しづらく、まずは海外で実績作って逆輸入パターンが正攻法に思えます。
あとは、金融に踏み込んでるネット系企業(楽天、ヤフー、LINE等)で実績作るか。
ただ、金融庁としても、反社対策としてKYCの一本化、シンプル化には非常に興味があるそうで、チャンスはありそう。

実現されるとどうなるのか?

各金融機関のKYCに対するコストがかなり安くなるはずです。
反社チェックもほぼ自動で行えます。
反社チェックの精度が上がると、資金移動業の100万円制限とかも撤廃されるかもしれません。
ブロックチェーンに個人情報を乗せれるということは、クレジットヒストリーも、現時点の貸付残高も全てデジタルで各企業が勝手に厳密に管理できるということで、CICはいらなくなります。
しかし、それは国も個人個人の貸金状況を管理できるようになることも意味しており、貸金における総量規制にはじまる、より精緻な貸金の条件が付加される可能性があります。
例えば、経産省管轄のリボ払いも今はキャッシングほど縛りは強くないですが、縛られる可能性が出てきます。

今できることは?

ちょっとこれは先進的なので、流れを注視する、ということになるかなと。
実際、一番はじめに参加する金融機関のメリットは、コスト削減以外であまり見当たらないため、誰が一番はじめに手を挙げるのか注目。

【中国】激戦の中国モバイル決済、アリババ追う武器は

http://jp.wsj.com/articles/SB11031890582215644392604582083491757114450
Alipayについては、先日からお送りしておりますが、ライバルのWeChat Payがシェアを伸ばしていることが分かる記事です。
シェアのグラフはこちら↓

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Android Pay英国始動 / Coin買収 / プリペイドにKYC義務化の流れ

5/23に書いた記事です。Android PayとCoin、KYCに関する話題です。
■目次
・【イギリス】Android Payがイギリスでローンチ、地下鉄やバスでも利用可能に
・【アメリカ】Androidがアプリを入れなくてもアプリの機能を使えるサービスを発表
・【アメリカ】クレジットカードを1枚にできるCoinをウェアラブルデバイスのFitBitが買収
・【日本】前払式に本人確認義務化&スマホでの本人確認実証実験
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【イギリス】Android Payがイギリスでローンチ、地下鉄やバスでも利用可能に
Android Pay launches in the U.K. today, Australia, Singapore, and more markets to follow
http://venturebeat.com/2016/05/18/android-pay-launches-in-the-u-k-today-australia-singapore-and-more-countries-to-follow/
Apple Pay同様、スマホと指紋認証で決済ができるAndroid Payがイギリスでリリースされました。
いきなり地下鉄とバスでも利用可能にしているのが大きい。
なお、Apple PayもLondonでは既に地下鉄とバスで利用可能状態で、去年7月から今年1月までの半年で320万人が利用したとされています。
https://www.theguardian.com/technology/2016/may/18/android-pay-apple-samsung-pay-google
【アメリカ】Androidがアプリを入れなくてもアプリの機能を使えるサービスを発表
http://android-developers.blogspot.jp/2016/05/android-instant-apps-evolving-apps.html
Google I/O: AndroidのInstant Appsはアプリとウェブページとのギャップを埋める新アプローチ
http://jp.techcrunch.com/2016/05/19/20160518google-takes-a-new-approach-to-native-apps-with-instant-apps-for-android/
今までは、アプリを入れないとアプリの中の機能を使うことができず、アプリを入れるのにそれなりのハードルがありましたが、それを解決するサービス『Instant Apps』を発表しました。
言葉で説明するのは難しいですが、このアニメーション↓を見ていただけるとわかりやすいです。
Instant Apps
ブラウザでGoogleで商品を検索して、商品ページをタップするとそのまま簡易的なアプリが起動して、アプリ上で買い物ができるようになっています。
買い物が終わるとアプリは消えている。
日本だと、例えば地方のバスが運行状況のアプリを提供していて、バス停のQRコードを撮ってその時だけアプリで見る、みたいなことかと。
そこに反射的にカード会社のアプリがつながって3Dセキュアっぽくその場で決済できるみたいなのはあるかなーと。
【アメリカ】クレジットカードを1枚にできるCoinをウェアラブルデバイスのFitBitが買収
http://www.engadget.com/2016/05/18/fitbit-buys-coin/
2013年後半に話題になった、複数のクレジットカードを1枚の物理カードに集められるCoinが、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスを提供するFitBitに買収されました。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1311/15/news061.html
IC化の流れと、Apple/Android Payの興隆で物理カードソリューションは中々厳しかった、ということかもしれませんが、ウェアラブルデバイスの会社が決済の会社を買収する流れができており、要は腕時計やブレスレット等で決済できる世界は近くに来ているということだと思います。
おそらく、スマホでカードを撮ったら腕時計にカードが登録され、NFCで決済する、というものを今年・来年中に出してくるはずです。
なお、Coinにはセゾンさんが出資されていましたが、国内カード会社による海外ベンチャー初のExit実績、という点でも興味深く、次回のセゾンさんのIRに注目です。
【日本】前払式に本人確認義務化&スマホでの本人確認実証実験
前払い式カードに規制案 G7財務相、本人確認義務化など
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H33_X10C16A5PP8000/
マイナンバー活用、スマホで本人確認 政府が実証実験へ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H65_X10C16A5MM8000/
既にご存じの方も多いと思いますが、G7で前払い式の決済手段に、漏れ無く本人確認を義務化するよう、フランス等が求めているとのことです。
ISISがテロで使ったことが問題となっています。
もちろん、日本もG7の1国なので対応が求められますが、とはいえ既にSuicaやnanaco等、本人確認不要の電子マネーが普及してしまっている日本でどのような対応がされるのか?
金額制限をかける等本人確認不要の条件を作るのか、マイナンバーとスマホ等を使って、本人確認の敷居を下げて全て義務化するのか。
直近は前者でやりつつ、本質的には後者を目指すのではないか?と思っています。

アリババのLazada買収 / Alipayの調達 / ビットコインデビット

今月から、カード会社様向けに一方的に送りつけるメルマガをやっておりまして、1週間遅れでブログにも上げていきたいと思います。
■目次
【東南アジア】アリババが買収の「アジアのアマゾン」Lazada社 企業価値は1,600億円
【中国】AlipayのAntFinancialが約5000億円調達、企業価値は約6.5兆円
【台湾】台湾のファミマでビットコインを買える話は実は奥が深かった
【日本】徐々に出始めてきたビットコインデビットカード
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【東南アジア】アリババが買収の「アジアのアマゾン」Lazada社 企業価値は1,600億円
http://forbesjapan.com/articles/detail/11848
ちょっと古いですが、中国B2B-ECのアリババが、インドネシアのTOP-ECを買収したというニュースです。これは、東南アジアの決済を狙う日本のカード会社からすると大きなインパクトがあるはずで、①中国・インドと比べると市場が相当小さいことがわかってしまった、②東南アジアの決済は中国が握る可能性が高くなった、という点です。
①についてGMO-PGの村松さんのコメントが秀逸で、”インド最大手ECのFlipkartは時価総額1.5兆円なのに、東南アジア最強のLazadaは1200億円しかなかった、1/10以下だ。”ということ。です。海外展開する上で日本からすると東南アジアが選ばれやすい昨今ですが、市場規模は人口比で見てもインドより小さい、と思って臨まないといけなくなったという理解です。
https://newspicks.com/news/1495500/
②買収したのがAmazonではなく、アリババ。これを期に一気にAlipayを普及させにくる可能性が高く、加盟店手数料0.5%以下✕中国人旅行者を強みに、これから端末を入れる加盟店/国からすると選択せざるをえない状況が作られるはずです。
【中国】AlipayのAntFinancialが約5000億円調達、企業価値は約6.5兆円
http://www.wsj.com/articles/alibaba-affiliate-ant-financial-raises-4-5-billion-in-largest-private-tech-funding-round-globally-1461642246
上のニュースと関連して、AlipayのAntFinancialが5000億円を調達しました。単純に考えると、これで東南アジア各国のTOP-ECを現金で全部買収できる、くらいの資金力を得たことになります。
なお、Visa, Incが約15.9兆円、日本の楽天の企業価値は約1.6兆円です。
【台湾】台湾のファミマでビットコインを買える話は実は奥が深かった
http://coinandpeace.hatenablog.com/entry/bitcoin_and_familymart_in_Taiwan
ビットコインの話題ですが、台湾のファミリーマートでビットコインを買えるようになっているようです。買う理由は、日本のギフトカード//Vプリカ同様、カードを持てない人が海外EC/課金するためのようです。台湾大手のビットコイン取引所の40%がファミマで購入されているとのこと。日本ではFXのようにデイトレでの取引がほとんどですが、こういうところから決済用途で広まっていくシナリオもありえるかもしれません。
なお、ビットコイン残高は約7,720億円、日本では既に日次で20億円程度の取引があります。
http://ビットコイン相場.com/
【日本】徐々に出始めてきたビットコインデビットカード
テックビューロが6.7億円を調達、ブロックチェーン技術mijinを海外へ
http://jp.techcrunch.com/2016/04/28/techhbureau-raises-670million-yen/
プライベートブロックチェーン技術のテックビューロが、調達と提携を発表しましたが、「マネーパートナーズグループ
同社発行のプリペイドカードのビットコイン対応。」とあり、ビットコインでマスターカードプリペイドに入金できるものをリリースされるようです。
他にも、Lemuriaという新生の取引所や、WALTというウォレットもビットコインデビットカードを発表しています。
http://thebridge.jp/2016/03/bicrements-lemuria
http://bankwalt.xyz/
米国でリリースしているShiftPaymentも候補ですね。
https://www.shiftpayments.com/
個人的には、為替変動してしまう通貨で日常利用するのはイメージが湧いていないのですが、ビットコイン自体がある程度広まりを見せる中で、コアなユーザーがいざというときのために財布に入れ出すシナリオはありえると思います。

決済業界の人間なら読むべし:Andreessen HorowitzのWeChatの考察

久々の投稿です。
これからは、備忘録も含めて、もっとカジュアルに投稿していこうかと。
ButtonのMike DudasのTweetが最近大変勉強になるのですが、彼が決済業界の人間なら読むべし、と書いてるAndreessen HorowitzのWeChatに関するポストを読んだメモ。


WeChatに注目すべき理由はこの3つ。
・Facebook含めた世界中のメッセージングアプリが注目してる
・モバイルコマースの未来を先どっている
・プラットフォームでもあり、モバイルのポータルでもある
さらに注目すべきはそのARPUで、少なくとも$7/人、WhatAppの7倍のARPU。
そのユーザー数は、549M MAUで、FBより100M少なく、LINEの3倍。
さらにこんな生活に根ざした機能を提供している。
タクシーの配車。食料の配達。映画チケットの購入。ゲーム。飛行機の予約。送金。フィットネスのログ。医者の予約。銀行の入出金記録。水道料金の支払。GPS連動のクーポン。等等。

WeChat users in China can access services to hail a taxi, order food delivery, buy movie tickets, play casual games, check in for a flight, send money to friends, access fitness tracker data, book a doctor appointment, get banking statements, pay the water bill, find geo-targeted coupons, recognize music, search for a book at the local library, meet strangers around you, follow celebrity news, read magazine articles, and even donate to charity … all in a single, integrated app.

ソーシャルネットワークを作るのではなく、ユーザー一人一人のライフスタイルを握ろうとしている。
では、WeChatはどのように機能しているのか?
①app-within-an-appモデル。
オフィシャルアカウントで簡単にアプリ作れて、WeChatのPR含めた、諸々の機能を使える。
中国のスタートアップはまずWeChat PlatformでテストしてからNative作る。
ここで流行ったスタートアップには出資もする。他社にはできないVCスタイル。
②肝は決済。
5人に1人はカード登録済み。とにかく3rdパーティーのアプリは、WeChatの認証も決済機能も使える。
医者の予約の支払いもWeChatでできちゃう。

画像:WeChat Walletから医者の予約をする一連のUI

③一朝一夕で達成できることもなく粛々とPRしてた。
このキャンペーン(新年に$81Mのキャッシュをバラ撒いた:広告主負担)とか。
④どのアプリよりも物理世界(online-offline integration)と連携している。
カメラで英語テキストを撮ったら中国語に翻訳してくれたり、TV番組の音声を拾って番組を識別してくれたり。

WeChat engages the camera to scan English text and translate it into Chinese, or to pay directly for a transaction. WeChat also better utilizes all the other smartphone sensors as sources of data input: It uses GPS when users search for businesses nearby. It calls upon the microphone to identify a TV show or a song on the radio. It uses the accelerometer when a user shakes a device to find strangers nearby to chat with. And it uses bluetooth when users add friends in their vicinity.

⑤ソーシャルではなく、ブランド企業や芸能人とのつながりにフォーカスしてきた。
それによって企業・芸能人の、消費者に対するマーケティングが変わった。完全フル1to1マーケティングできてる。
例えば、FB上のスタバだといいねとかしかできないが、WeChat上だと、ギフトカードの残高見れたり、ドリンクを注文できたり、一番近い店舗探したり、その都市の天気によって適切なメニューを提案してくれたりする。

For example, where Starbucks could post an offer for all users on its Facebook page, on WeChat, it could theoretically also allow a user to inquire after their gift card balance, place a favorite drink order, find the nearest store without having to specify intent, or receive a promotion tailored to drink preferences based on the weather in that city. Where a celebrity like Taylor Swift can share 140 characters about her upcoming concert on Twitter, on WeChat, she could send a concert discount code to users who purchased her album, or charge users a small fee for daily pre-recorded morning greetings (some celebrities in Asia actually already do this!).

感想

LINEが目指しているもの、といのがわかった気がしたが、全然スピード感が違うとも思った。
WeChatは色々な3rd partyに対して非常にOpen。Facebookですらよりも。
アプリ間連携の話も書きました↓
» iOS9で実装されるアプリ間連携の世界観とは?

銀行をクールにするSimpleの2013年振り返り

ずっと昔からウォッチしてた、Simple(昔はBankSimple)。
銀行をもっとクールに!という標語で創られたスタートアップで、使いやすいオンラインバンキング機能を提供することで注目を集めていた。
ビジネスモデルもユニークで、米国では一般的な口座管理費を会員から取らずに、預かっている預金の運用でマネタイズしている。
そんなSimpleが、2013 Our Year in Review という特設サイトを作って2013年を数値的に振り返っていたので紹介する。
UI自体も小綺麗な感じで、参考になる。
このサイトでは、Transactions(決済処理)、Support(サポート体制)、ATM、Customersの4つのトピックについて数値で表現してる。
その中から銀行に関係する、TransactionsとATMsというトピックをピックアップしてみよう。

■Transactions(決済処理)
・流通額
 $1,656,907,200≒1723億円
・決済処理数
 6,621,130回
・預金残高
 $64,055,187≒66.6億円
・決済手数料(振込)
 $0

■ATMs(ATM利用)

・ATM引き出し金額
 $19,655,460≒20.4億円
・ATM引き出し回数
 191,707回
・平均引き出し金額
 $103≒1.07万円
・払わなくて済んだATM手数料額
 $264,392≒2,749万円

日本の大手決済代行会社、GMP−PGの年間の決済処理金額は約1.2兆円(3100億円×四半期)で、その1/10って結構多い。
ただ、預金残高が66億円と、日本の小さな地銀よりも小さい。預金文化じゃないってことだろうか。
でも逆に、スタートアップが預金を個人から66億円集めるってのはすごい。
リリース当初から口座開設を招待制にしていて、数を絞っているのだけど、口座数はちょっと調べた限り分からなかった。
Quora辺りを熟読すればでてきそう。
最後に、会社のステータスを入れてるのがいい感じ。

» Simple | Worry-free Alternative to Traditional Banking

 

【採用PR】ココらへんの業界に興味ある人!

国内カード会社とスタートアップの取り組みまとめ(2013年)

最近、カード会社とスタートアップ系の取り組みが活発になってきたような気配がしているので、2013年の資本業務提携・業務提携についてまとめてみた。
ここらへんの業界のスタートアップ(ITベンチャー含む)といえば、端末・スマホ決済、決済代行、会員向けサービス、の3つに分けれそう。
※いわゆる、techcrunchBridgeに出るような会社さんを中心に、あとは個人的な興味で入れました。
■シンクライアント端末・スマホ決済
・2013/4月 Coineyとクレディセゾンが業務提携。2013/8に資本提携も。 press1 press2
・2013/5月 Squareと三井住友カードが戦略的業務提携 press
・2013/7月 Anywhereを運営するリンク・プロセシングとJACCSが業務提携。
 10月にはUCカードも資本提携。press1 press2
・トヨタフィナンシャルサービス、JCB、三井住友カード、UCカードから出資を受けている
 シンクライアントCCT端末のTMN(Transaction Media Network)が本格営業開始。
■決済代行
・DGの中間持株会社、econtext Asiaに、三井住友カード、クレディセゾン、JCBが出資。
 2013/12月には、香港証券取引所に上場。press
・2013/12月 DeNA子会社のPaygentに、三菱UFJニコスが出資。50%を持つことになり、持分法適用子会社
 になる。press
・2013/12月 開発者向けカード決済サービスのWebPayとトヨタファイナンスが業務提携。press
■会員向けサービス
・2013/6月 CLO(Card Linked Offer)ベンダーのカンムとクレディセゾンが、CLOサービスをリリース。press
・2013/8月 スマホポイントサービスのスマポと、三井住友カードが本格的なO2Oキャンペーンを実施。press
・2013/11月 クラウド会計ソフトのfreeeとクレディセゾンが、業務提携。news

※図は調べるおさんを目指して作ったのだけど、めっちゃむずい。やっぱ調べるおさんのセンスすごい。
スマホ決済・決済代行は業界的に大事なのはわかってるから、それぞれのカード会社がそれぞれ相性の良いプレーヤーを囲っているイメージ。
会員向けサービスは、今まであまり得意でなかったマーケティング分野に徐々に乗り出すための一歩って感じで、まだ各社探り探りっぽい。

 

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1枚でいろんなカードとして使えるDynamicsがMasterCardの公式ベンダーに

Dynamicsというキモいカードをご存知か?
物理的には1枚のカードなのだが、なんとこれ、2種類以上のカードとして使えるのだ。
下記のカードの画像を見ると、2つの丸があるのが分かる。
    
それぞれの丸の方向に対して、どのカードとして使うか、スマホやWebで設定することができるのだ。
この仕組みを使えば、あらゆるタイプのポイントカードや、クレジットカードを一つのカードにまとめることができる。
リアルTポイントカードだ。
先週、MasterCardの公式ベンダーになる、というニュースが出ていた。
既に40万ドルも資金調達しているし、何かの用途にはまったら一気に伸びるのかもしれない。
こちらに動画もある。