【カンム紹介】チーフエンジニアがCOOになると良くなる組織のこと

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会社ごと(カンム)で恐縮ですが、今年の頭くらいから、強くて優しい @_achiku がCOOになって、1年弱経ちました。
エンジニアから経営・Bizに移る人は増えているかと思うのですが(自分も2012年まではproductionのコード書いてました)、実際に会社の要職に就くとどういう効果があるのか?一般化できると、他の人の参考になるとも思い、書きました。
なお、achikuに依存するところも往々にしてありますが、Bizサイドのポテンシャルがあるエンジニア、と置き換えて読んでいただけると幸いです。
「チーフエンジニアがCOOになると良くなる組織のこと」と題しましたが、3つくらいあると思っています。
①マーケティングがデータ主導になった/ゲリラ戦ができるようになった
②エンジニア採用に注力、開発チームの厚みが増した
③社内コミュニケーションが進んだ

①マーケティングがデータ主導になった/ゲリラ戦ができるようになった

主にバンドルカードのマーケティング責任者になってもらう、というのが最初のミッションで、実際に新規会員数のKPIを持ってもらいました。
まず手を付けたことは、全員SQLでデータを追えるようにする、できそうな施策をリストアップしまくる、でした。
もともとRedash(SQLで簡単にデータを引っ張ってきてグラフ表示できるやつ)は整備していたのですが、マーケという観点ではそこまで活用しきれていなかった中で、まず重要指標をわかりやすいDashboardに落とし、RedashそのものもUpgradeしてパワーアップさせました。
また、社内全員の人がSQLを書けるように、毎週SQL勉強会(通称スパルタンSQL)を開催していました。

これで、多くの人(特に管理部)のSQL力が向上して、マーケ担当者が自分でデータを取って、仮説を作って検証して、効果測定する、ということができるようになったと実感します。
そして、マーケは未経験という状態から、下記本を片手に108のアイディアを皆から募ったりして、実際に優先順位をつけて新しい施策をスピーディに打てる体制になりました。
知り合いのアプリマーケターともTwitter経由で会いに行ったりして、選択肢も増やしました。

②エンジニア採用に注力、開発チームの厚みが増した

もともと良い開発チームを作りたい、と言っていたのですが、より採用に注力できる状態になって、エンジニア採用が進みました。
特に将軍級のエンジニアの採用です。
GoConに発表する、という活動はしていたのですが、そこで知り合った人と定期的に飲む、イベントを開く、等の活動が活発化しました。
ここ最近だと、tei君という新卒いきなりできるエンジニアと、7月に@kneeが入社。
各人に、技術的チャレンジとビジネスに繋がるタスクを結びつけて、プロジェクトと責任を持ってもらい、良いチームを作るという意識も高まって、そういう人と一緒に働きたいという人が入社してくる、という良いサイクルが回りだしています。

③社内コミュニケーションが進んだ

もともとエンジニアは、知っていることをオープンにする、自分が使っている公共のもの(オープンソース)へ積極的に貢献をする、という文化が強いと思います。
その文化を全社に広めるのも早かったように思います。
ハマったら他人に相談すると解決することがある、ということで、3時間に1回皆で立って話す会をやったり、
週に1回、良いことや継続すべきことなどを皆で出し合うKPT、最近では月一くらいでKanmu Tech Dayという、普段取り掛かれないけど取り組みたいちょっとした技術的な改善をやる会を開いたりしていました。
こんな感じです↓


それに、このTweet主の、 @hiroakisが導入してくれた、esa(社内Wiki)もでかいです。
社内に公開、知識・ノウハウを共有するハードルが劇的に下がって、社内全体が見える化しました。

また、CEOたる自分にも良い影響として、今まで自分でやっていた領域でパフォーマンスを出される点については、普通に嫉妬して自分も頑張ろ!と思うわけで、学習量がかなり増えました。

今後は、PL(事業計画)を持って事業を作る、というチャレンジをしていってもらいたいと思っています。
» 参考:カンムで使ってる事業計画のテンプレを公開します

ちなみにカンムでは下記職種を鋭意募集中です。ここに出てないのも実はやってたりするので、興味があれば連絡もらえると!

12/6(木)にエンジニア向けのイベントもやるのでもしご興味あれば!
» 【エンジニア対象】クレジットカード・決済の仕組み勉強会
» 株式会社カンム

僕と太河さん

突然ですが、イーストベンチャーズ(EV)の松山太河さんについて書きます。
「人生で一番お世話になっている人」なのですが、最近社内に人が増えてきて、太河さんのことを知らない人がいたのと、人に会う機会がまた増えてきたので話のネタにw
EVのサイトを見るとそれっぽい感じになってました。

初めて出会ったのは2006年で、僕が大学2年の時でした。
ちょうどライブドア事件が収束したくらいの時です。
当時、百式という海外のWebサービスを紹介するブログをやっていた、田口さんのところでインターンしてました。これに応募した感じです。
» 学生インターン募集(ブログライター) | IDEA*IDEA
田口さんは田口さんで、この界隈に引き入れてくださった恩人です。
田口さん主催のなんかのパーティーで、太河さんを紹介されました。
その時は軽くあしらわれました。
ちなみにその時にはもうこんな感じ↓からは卒業されていました。

» 【INTERVIEW】“Internet Business Report”でインターネットビジネスを広げていきたい 発行責任者 松山太河氏
その後、2007年からメルカリ進太郎さんの前の会社、ウノウ(後にZyngaが買収)でエンジニアバイトしてて、小野さんに誘っていただいてIVSのスタッフやってる時にお会いしました。
アフターパーティの時だったのですが、大学4年になりたてかなんかで、まあ知り合いがいない中一人で飲んでると、1年以上ぶりくらいなのに、軽くあしらわれ会のことを覚えていてくださり、話しかけられました。
ちょうど進太郎さんもいていい感じに紹介いただいたかと思います。
当時は、太河さんは、クロノスファンドというファンドから、ウノウに出資されてました。
同時期だと、フリークアウトの本田さんの前の会社、ブレイナー(後にYJが買収)にも出資されてたかと思います。
そこで家が近いことが分かり、1ヶ月おきくらいにお会いする関係になりました。
基本的には、Paul Graham、 Reid Hoffman、 Peter Thiel、 Mark Zuckerberg当たりのシリコンバレーの起業家/投資家の話ばかりしてた気がします。
あと国内上場企業、市場感についても薫陶を受けました。
2008年の夏に調子乗ってシリコンバレーに就活に行く!というノリで、1ヶ月位滞在してました。
» 近況報告fromシリコンバレー
その中で、TechCrunch50(TC50)というイベント(今はTechCrunch Disrupt)に行く予定だったのですが、それとYComの社屋の写真を撮ってくる、というミッションでお小遣いをもらいました。
ちなみに当時のTC50は、井口さんのSecai Cameraがデビューしたときです。生で見て興奮しました。

» TechCrunch50日本勢の活躍(2)Tonchidot
結局ビザ無いとなにもできないやんけ!ということで、何もなく帰ってきたのですが、現WiLの伊佐山さんにお会いすることができ、そこで日本のベンチャー企業に入社することを決めました。
言外に「ベンチャー大変だけど楽しいよ」と言われたような気がします。
その時のメモ↓
» シリコンバレー訪問8:VC(日本人)-こっちと日本VCの違い
その当時内定をもらってたのは、某大手コンサル会社と、Wiproというインドのシステム会社で、伊佐山さんに会ってなかったら新卒1年はインドに缶詰になってた気もします。(今思うとそれはそれで有りだった気もします)
帰国後、Studio Ousiaという会社に入社し、2年位研究よりのJavaScriptエンジニアやってました。
CTOのikuya-sanには、エンジニアの基礎を叩き込んでいただきました。
夜な夜な麻婆豆腐やじゃんがらラーメンを食べなら「人間とは?」とか「ジェダイとは?」とかの話に付き合わされた気がします。(誤解を招く表現ですが、好きで聞いてました)
2010年後半頃、自分もビジネス側やりたい、という想いが強まってきていて、辞めることになるのですが、その時くらいに大学卒業してからお会いしてなかった太河さんとまた会うようになり、起業するなら出すよ、と言ってくださって起業に至ります。
当時、インキュベイトの赤浦さんや、アーキタイプの中嶋さんとも同様の話があったのですが、事業の方向性が違うかも、ということで、太河さんからの出資を受ける感じになりました。
当時はすみませんでした、、、
なお、太河さんとは既になぜかmixiアプリを協同で出してたり、有料のWall Street Journalの国内版とか市場あるんじゃね?という話をしてて、「金融」×「データ」に興味が出始めたときです。
「金融」は、大学4年時に太河さんと話してて、「教育」の次に国として重要な要素だと思ったから。
なお、大学3年の時、証券会社・ファンドでいくつかインターンさせてもらっていて、金融には漠然と興味がありました。
「データ」は、エンジニアとして興味があったから。データと金融は相性が良かった、というのもあります。
ちなみにカンムのFirst Productはこれです。既に動いてはいませんでしたが、、、
» マニアックな金融系サイトをnode.jsとMongoDBで実装してみた(概要編)
その助言はStockClipに受け継がれていると勝手に思っています。
そう言えばその年のXmasかなんかの日に、これも現株主のANRIさんコイニーのnaoko-sanと(当時はまだ夫婦ではなかった)、太河さんちで、iPadの上場企業時価総額マップアプリを肴に飲んでました。
太河さんのTwitterプロフィールにもなってるこれです。

「きのこ業界が意外にでかい」と嬉々として話されていたのが忘れられません。
起業後も色々お世話になりましたが、それは追って。

ちなみにカンムでは下記職種を鋭意募集中です。ここに出てないのも実はやってたりするので、興味があれば連絡もらえると!

12/6(木)にエンジニア向けのイベントもやるのでもしご興味あれば!
» 【エンジニア対象】クレジットカード・決済の仕組み勉強会
» 株式会社カンム

未来投資戦略2018の決済系企業が関係するところまとめ

» 【カンム紹介】前提知識の平準化のための勉強会
ここでも書いたとおり、定期的に社内向けの勉強会を開いています。
2018年6月に首相官邸から、ことテクノロジーに関係する領域の戦略に関する資料が発布されていたので、それを弊社に関係あるところだけ抜粋して、そこから読み解ける近未来について予想した勉強会を開きました。
その時の資料の抜粋部分だけUPします。
日本国が重点的に投資をして、達成のためのKPIを設定している領域になるので、ただの推測よりも確実性の高い未来を予想することができます。
ついでに、Internet Trends 2018も入れています。

ここから、私の予想を加えて話をしました。
・ECの銀行振込決済がちょっと増える
・個人間送金が普及する ※普及=数年で500万ユーザー
・バーチャルクレカが増える
とかですね。
個人間送金周りは、WATARU会でも話そうと思っているので、ご興味ありましたら是非ご登録ください。
https://wataru.connpass.com/event/94558/

【カンム紹介】事業計画を公開して共通言語を作る

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前回に続き、会社で意識していることを書きます。
» 【カンム紹介】前提知識の平準化のための勉強会

前回とも被るのですが、とにかく「前提」を共有することを意識しています。
その中で、いちばん重要なのは会社の方向性を示すもので、それを具体化した事業計画(Excelの月次収益計画)を事業開始当初から全社に共有しています。
短期の今後の計画(戦略・人員計画)や、ビジネスモデル、過去の履歴が全ていじりようのない数値として記載されています。
なお、弊社の事業計画の記載ルールはこっちで書いてます。
» カンムで使ってる事業計画のテンプレを公開します
全社共有することのメリットは3つあります。
①社長以外がプロジェクトの優先順位をつけやすくなる
②会社がいつ黒字化する予定なのか伝えられる
③個別プロジェクト毎にどの程度の予算を考えているか伝えられる

①社長以外がプロジェクトの優先順位をつけやすくなる

何か意思決定をするとき、その決定がどの数値に影響し、売上にどの程度貢献するのかわかるため、”社長以外”が優先順位の判断する時に有用だと思っています。
AとBという次やりたいプロジェクトがあって、どっちがより売上(他KPI)に影響するのか?を各々が考えて決定できると、意思決定量が増えて、よりスピーディな組織になると考えます。
例えば、新規ユーザーを獲得する、既存ユーザーのリテンションを上げる、というどちらかを選ばないといけない時、売上により影響するのはどちらか?という軸を持って判断することができます。
もちろん、短期の売上なのか、1年後の長期の売上を取るのか?という判断もありますが、それもこの事業計画の上でシミュレーションすることができます。
また、「これをやるべき」と社内に伝えるときも、明確な数値のロジックで示せるので、納得感も得やすいです。

②会社がいつ黒字化する予定なのか伝えられる

正直、今弊社の事業計画は120行もあって、細かい計算式を理解できている人はそんなにいないのですが、黒字化しているのかどうか?というのは誰でもすぐにチェックできる数値になります。
特に新しく入った人に説明する時に重要で、「スタートアップである以上現時点では赤字だけど、この前提でこの時に黒字化します」、ということを言えると安心に思ってもらえるかなーと思っています。
また、「よくわからないけど、いつか黒字化すると社長が言っている」状態は健康的ではないと思っていて、いつ黒字化する、をちゃんと説明できるのとできないのとでは、組織の健康状態がだいぶ違う気がします。

③個別プロジェクト毎にどの程度の予算を考えているか伝えられる

現状、会社の重要なKPIを3つに定めていて、それぞれ責任者を作っているのですが、そのKPIを達成するためにいくらまでなら許容できる?ということも伝えられます。
わかりやすいところだと、新規ユーザー獲得の文脈で、「いつまでに”いくらで”何人獲得してほしい」、ということを明確に示せたのは、良かったことでした。

課題:運用コストがまあまあでかい

行数が多いと、説明コストが大きいことです。
週次定例の場などで、逐一説明するようにはしているのですが、自分が数値オタクのため、結構な頻度で修正するため、追っていくのも大変です。
結局、複雑だと誰も見なくなります。
そのため、今後は、事業の精度=解像度が上がるに連れて、行数は減らしていきたいと思います。
いまいまだと、経営陣しか詳細理解できていない部分も多いですが、今後は全社に理解してもらうようにしていきたいですね。
事業計画勉強会の機運、、、

【カンム紹介】前提知識の平準化のための勉強会

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2012年から決済系のブログを書いてますが、本業はバンドルカードというVisaプリカを発行するカンム、という会社の社長をやってます。
カード業界的には、イシュアという立場で、カード会員様の決済トランザクションをさばいて、アプリを提供し、カスタマーサポートもしているのですが、新しい人が入ると、全職種で「業務知識が多すぎる」「キャッチアップが大変!」という声が出てきます。
基礎知識として必要な資料は、おそらくパワポで200ページくらいいくと思います。
カスタマーサポートになると、アプリの仕様も含めて、500ページくらいか、、、
結果的に、弊社では勉強会を頻繁にやる文化が根付いていると思います。
これは、5月の勉強会のスケジュールですが、5回行われています(予定含む)。

具体的には、
・POWとPOS by @achiku
経産省「キャッシュレス・ビジョン」勉強会 by 8maki
・バンドルカード千夜一夜物語 by @achiku
・スパルタンSQL #2(SQL勉強会) by @moqada
・カード会社のIR勉強会(予定) by 8maki
これからは下記当たりに期待!
・Visa伝票勉強会 by 佐野
・有価証券報告書の見るべきポイント by 伊藤
これが多いのか少ないのかは分かりませんが、業務を圧迫しない範囲で、色々な人の色々な知識を共有する場は積極的に作っていきたいと思っています。
なお、achikuの「バンドルカード千夜一夜物語」は、今までの流れをまとめただけでなく、意思決定や悩んだところも話していて、判断基準をなんとなく共有するのに非常に良いです。

 

というのも、ベンチャーはスピードの速さが命、という話はよく聞きますが、では何をしたらスピードが早くなるのか?というのは会社によってマチマチだと思います。
自分としては、スピードの早い組織として「誰もが同じ前提を知っていて、同じレベルの意思決定が個々人できる状態」というのを一つ、定義しています。
前提を知らないことによる誰かへの確認や、ズレた状態で突っ走って是正するための遅延を、なるべく削ぎ落とすことでスピードを上げます。
小難しい表現をすると、各人のベクトルの内積を最大化するイメージ。
勉強会以外でも、何かやる時は、とにかく社内Wikiに前提を書き下して、判断基準を明確にして、全公開しています。
前提知識とロジック、さらには想いも含めて、知的格闘技の様相を呈していると思っていて、そういう環境で全力を発揮したい!あるいは発揮できる組織を作りたい!という人を全力で募集しています。

他にも、バックエンドエンジニアやアプリマーケターなど、全方位で募集しているので、ぜひご一読を。
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