Android Pay英国始動 / Coin買収 / プリペイドにKYC義務化の流れ

5/23に書いた記事です。Android PayとCoin、KYCに関する話題です。
■目次
・【イギリス】Android Payがイギリスでローンチ、地下鉄やバスでも利用可能に
・【アメリカ】Androidがアプリを入れなくてもアプリの機能を使えるサービスを発表
・【アメリカ】クレジットカードを1枚にできるCoinをウェアラブルデバイスのFitBitが買収
・【日本】前払式に本人確認義務化&スマホでの本人確認実証実験
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【イギリス】Android Payがイギリスでローンチ、地下鉄やバスでも利用可能に
Android Pay launches in the U.K. today, Australia, Singapore, and more markets to follow
http://venturebeat.com/2016/05/18/android-pay-launches-in-the-u-k-today-australia-singapore-and-more-countries-to-follow/
Apple Pay同様、スマホと指紋認証で決済ができるAndroid Payがイギリスでリリースされました。
いきなり地下鉄とバスでも利用可能にしているのが大きい。
なお、Apple PayもLondonでは既に地下鉄とバスで利用可能状態で、去年7月から今年1月までの半年で320万人が利用したとされています。
https://www.theguardian.com/technology/2016/may/18/android-pay-apple-samsung-pay-google
【アメリカ】Androidがアプリを入れなくてもアプリの機能を使えるサービスを発表
http://android-developers.blogspot.jp/2016/05/android-instant-apps-evolving-apps.html
Google I/O: AndroidのInstant Appsはアプリとウェブページとのギャップを埋める新アプローチ
http://jp.techcrunch.com/2016/05/19/20160518google-takes-a-new-approach-to-native-apps-with-instant-apps-for-android/
今までは、アプリを入れないとアプリの中の機能を使うことができず、アプリを入れるのにそれなりのハードルがありましたが、それを解決するサービス『Instant Apps』を発表しました。
言葉で説明するのは難しいですが、このアニメーション↓を見ていただけるとわかりやすいです。
Instant Apps
ブラウザでGoogleで商品を検索して、商品ページをタップするとそのまま簡易的なアプリが起動して、アプリ上で買い物ができるようになっています。
買い物が終わるとアプリは消えている。
日本だと、例えば地方のバスが運行状況のアプリを提供していて、バス停のQRコードを撮ってその時だけアプリで見る、みたいなことかと。
そこに反射的にカード会社のアプリがつながって3Dセキュアっぽくその場で決済できるみたいなのはあるかなーと。
【アメリカ】クレジットカードを1枚にできるCoinをウェアラブルデバイスのFitBitが買収
http://www.engadget.com/2016/05/18/fitbit-buys-coin/
2013年後半に話題になった、複数のクレジットカードを1枚の物理カードに集められるCoinが、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスを提供するFitBitに買収されました。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1311/15/news061.html
IC化の流れと、Apple/Android Payの興隆で物理カードソリューションは中々厳しかった、ということかもしれませんが、ウェアラブルデバイスの会社が決済の会社を買収する流れができており、要は腕時計やブレスレット等で決済できる世界は近くに来ているということだと思います。
おそらく、スマホでカードを撮ったら腕時計にカードが登録され、NFCで決済する、というものを今年・来年中に出してくるはずです。
なお、Coinにはセゾンさんが出資されていましたが、国内カード会社による海外ベンチャー初のExit実績、という点でも興味深く、次回のセゾンさんのIRに注目です。
【日本】前払式に本人確認義務化&スマホでの本人確認実証実験
前払い式カードに規制案 G7財務相、本人確認義務化など
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H33_X10C16A5PP8000/
マイナンバー活用、スマホで本人確認 政府が実証実験へ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H65_X10C16A5MM8000/
既にご存じの方も多いと思いますが、G7で前払い式の決済手段に、漏れ無く本人確認を義務化するよう、フランス等が求めているとのことです。
ISISがテロで使ったことが問題となっています。
もちろん、日本もG7の1国なので対応が求められますが、とはいえ既にSuicaやnanaco等、本人確認不要の電子マネーが普及してしまっている日本でどのような対応がされるのか?
金額制限をかける等本人確認不要の条件を作るのか、マイナンバーとスマホ等を使って、本人確認の敷居を下げて全て義務化するのか。
直近は前者でやりつつ、本質的には後者を目指すのではないか?と思っています。

アリババのLazada買収 / Alipayの調達 / ビットコインデビット

今月から、カード会社様向けに一方的に送りつけるメルマガをやっておりまして、1週間遅れでブログにも上げていきたいと思います。
■目次
【東南アジア】アリババが買収の「アジアのアマゾン」Lazada社 企業価値は1,600億円
【中国】AlipayのAntFinancialが約5000億円調達、企業価値は約6.5兆円
【台湾】台湾のファミマでビットコインを買える話は実は奥が深かった
【日本】徐々に出始めてきたビットコインデビットカード
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【東南アジア】アリババが買収の「アジアのアマゾン」Lazada社 企業価値は1,600億円
http://forbesjapan.com/articles/detail/11848
ちょっと古いですが、中国B2B-ECのアリババが、インドネシアのTOP-ECを買収したというニュースです。これは、東南アジアの決済を狙う日本のカード会社からすると大きなインパクトがあるはずで、①中国・インドと比べると市場が相当小さいことがわかってしまった、②東南アジアの決済は中国が握る可能性が高くなった、という点です。
①についてGMO-PGの村松さんのコメントが秀逸で、”インド最大手ECのFlipkartは時価総額1.5兆円なのに、東南アジア最強のLazadaは1200億円しかなかった、1/10以下だ。”ということ。です。海外展開する上で日本からすると東南アジアが選ばれやすい昨今ですが、市場規模は人口比で見てもインドより小さい、と思って臨まないといけなくなったという理解です。
https://newspicks.com/news/1495500/
②買収したのがAmazonではなく、アリババ。これを期に一気にAlipayを普及させにくる可能性が高く、加盟店手数料0.5%以下✕中国人旅行者を強みに、これから端末を入れる加盟店/国からすると選択せざるをえない状況が作られるはずです。
【中国】AlipayのAntFinancialが約5000億円調達、企業価値は約6.5兆円
http://www.wsj.com/articles/alibaba-affiliate-ant-financial-raises-4-5-billion-in-largest-private-tech-funding-round-globally-1461642246
上のニュースと関連して、AlipayのAntFinancialが5000億円を調達しました。単純に考えると、これで東南アジア各国のTOP-ECを現金で全部買収できる、くらいの資金力を得たことになります。
なお、Visa, Incが約15.9兆円、日本の楽天の企業価値は約1.6兆円です。
【台湾】台湾のファミマでビットコインを買える話は実は奥が深かった
http://coinandpeace.hatenablog.com/entry/bitcoin_and_familymart_in_Taiwan
ビットコインの話題ですが、台湾のファミリーマートでビットコインを買えるようになっているようです。買う理由は、日本のギフトカード//Vプリカ同様、カードを持てない人が海外EC/課金するためのようです。台湾大手のビットコイン取引所の40%がファミマで購入されているとのこと。日本ではFXのようにデイトレでの取引がほとんどですが、こういうところから決済用途で広まっていくシナリオもありえるかもしれません。
なお、ビットコイン残高は約7,720億円、日本では既に日次で20億円程度の取引があります。
http://ビットコイン相場.com/
【日本】徐々に出始めてきたビットコインデビットカード
テックビューロが6.7億円を調達、ブロックチェーン技術mijinを海外へ
http://jp.techcrunch.com/2016/04/28/techhbureau-raises-670million-yen/
プライベートブロックチェーン技術のテックビューロが、調達と提携を発表しましたが、「マネーパートナーズグループ
同社発行のプリペイドカードのビットコイン対応。」とあり、ビットコインでマスターカードプリペイドに入金できるものをリリースされるようです。
他にも、Lemuriaという新生の取引所や、WALTというウォレットもビットコインデビットカードを発表しています。
http://thebridge.jp/2016/03/bicrements-lemuria
http://bankwalt.xyz/
米国でリリースしているShiftPaymentも候補ですね。
https://www.shiftpayments.com/
個人的には、為替変動してしまう通貨で日常利用するのはイメージが湧いていないのですが、ビットコイン自体がある程度広まりを見せる中で、コアなユーザーがいざというときのために財布に入れ出すシナリオはありえると思います。