日銀のFinTech資料(主に中国とキャッシュレスについて)

今回は短めに。
去年、日銀のFinTechセンター長に就任された、河合さんの資料が上がってました。

» FinTechが描く未来~利便性かBig Brotherか
個人的に面白かったのは、2点。

Alipayのスマホホーム画面


今Alipayが揃えているサービスが網羅されたホーム画面です。
MMF投資がトップに来ているのが面白いですね。
このホーム画面を、日本のFinTech企業は埋めに来ているイメージです。
そもそものプラットフォームである、ウォレット競争も始まったばかり、という感じではありますが。
» 参考:スマートペイメント(決済)の業界マップと競争領域

Alipay/WechatPayのシェア


2016年1月と、少し古いソースではありますが、久々にAlipay/WechatPayのシェアが確認できました。
この時点では半々ですが、既にWechatPayが抜いている印象。

【告知】

10/26(木) @渋谷で、FinTech WATARU会の第二回やります。
» FinTech WATARU会 #2「目論見書とか通貨とか信販会社とか」
引き続き、弊社ではエンジニアを募集しています!
» 既存金融サービスを越えていくJavaScriptエンジニア募集

ブロックチェーン技術のKYC(本人確認)への応用

■目次
【日本】リテール決済カンファレンス「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」
【中国】激戦の中国モバイル決済、アリババ追う武器は
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【日本】リテール決済カンファレンス「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160526b.htm/
「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/data/rel160526b8.pdf
※KYC=Know Your Customer
先日、日銀主催での決済のカンファレンスが行われましたが、その中でも「ブロックチェーン技術のKYCへの応用」が目新しいものでした。
要は、ブロックチェーン技術を使って、各金融機関のKYC済み個人情報を共有しよう!という野心的な試みです。
CEOの武宮誠氏、はもともとプライベートブロックチェーンのMijinでCTOをやっていて、国内のブロックチェーン技術者では随一と評されている人です。

実現されるのか?

言ってしまえばCIC(信用情報機関:http://www.cic.co.jp/)の代替にもなり得るわけですが、CICの始まりを鑑みても、なかなか一企業がやるのは厳しい気もしています。
CICも、法規制で地方に散らされた割賦販売→消費者金融が共通のDBを持ちたい、ことから始まり、そこから流通系(特に百貨店)、銀行系の信用情報機関を合併してできあがっています。※CICの歴史はあまり自信ない
やるとしたらはじめから多くの金融機関・ノンバンクの寄り合い状態を作れないと国内では広がらない。
しかし、寄り合い状態を作る=多くの株主を持つことになるとベンチャー企業のやり方ではかなり厳しいと思います。
実際、CICも金融庁と経産省の両方に指定を受けており、監督官庁がまたがってる時点で難易度がかなり上がります。
あるとしたら、それこそ金融庁or経産省or警察庁が社団法人なり団体なりを作って、そこの専属ベンダーとしてやる感じかなと。
ただ、そういう官庁が新参の一企業にそれを任せるか?(NTTデータならまだしも)と言われるとそれも想像しづらく、まずは海外で実績作って逆輸入パターンが正攻法に思えます。
あとは、金融に踏み込んでるネット系企業(楽天、ヤフー、LINE等)で実績作るか。
ただ、金融庁としても、反社対策としてKYCの一本化、シンプル化には非常に興味があるそうで、チャンスはありそう。

実現されるとどうなるのか?

各金融機関のKYCに対するコストがかなり安くなるはずです。
反社チェックもほぼ自動で行えます。
反社チェックの精度が上がると、資金移動業の100万円制限とかも撤廃されるかもしれません。
ブロックチェーンに個人情報を乗せれるということは、クレジットヒストリーも、現時点の貸付残高も全てデジタルで各企業が勝手に厳密に管理できるということで、CICはいらなくなります。
しかし、それは国も個人個人の貸金状況を管理できるようになることも意味しており、貸金における総量規制にはじまる、より精緻な貸金の条件が付加される可能性があります。
例えば、経産省管轄のリボ払いも今はキャッシングほど縛りは強くないですが、縛られる可能性が出てきます。

今できることは?

ちょっとこれは先進的なので、流れを注視する、ということになるかなと。
実際、一番はじめに参加する金融機関のメリットは、コスト削減以外であまり見当たらないため、誰が一番はじめに手を挙げるのか注目。

【中国】激戦の中国モバイル決済、アリババ追う武器は

http://jp.wsj.com/articles/SB11031890582215644392604582083491757114450
Alipayについては、先日からお送りしておりますが、ライバルのWeChat Payがシェアを伸ばしていることが分かる記事です。
シェアのグラフはこちら↓

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
当社はでは金融に興味があるエンジニアを募集しています!↓

アリババのLazada買収 / Alipayの調達 / ビットコインデビット

今月から、カード会社様向けに一方的に送りつけるメルマガをやっておりまして、1週間遅れでブログにも上げていきたいと思います。
■目次
【東南アジア】アリババが買収の「アジアのアマゾン」Lazada社 企業価値は1,600億円
【中国】AlipayのAntFinancialが約5000億円調達、企業価値は約6.5兆円
【台湾】台湾のファミマでビットコインを買える話は実は奥が深かった
【日本】徐々に出始めてきたビットコインデビットカード
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【東南アジア】アリババが買収の「アジアのアマゾン」Lazada社 企業価値は1,600億円
http://forbesjapan.com/articles/detail/11848
ちょっと古いですが、中国B2B-ECのアリババが、インドネシアのTOP-ECを買収したというニュースです。これは、東南アジアの決済を狙う日本のカード会社からすると大きなインパクトがあるはずで、①中国・インドと比べると市場が相当小さいことがわかってしまった、②東南アジアの決済は中国が握る可能性が高くなった、という点です。
①についてGMO-PGの村松さんのコメントが秀逸で、”インド最大手ECのFlipkartは時価総額1.5兆円なのに、東南アジア最強のLazadaは1200億円しかなかった、1/10以下だ。”ということ。です。海外展開する上で日本からすると東南アジアが選ばれやすい昨今ですが、市場規模は人口比で見てもインドより小さい、と思って臨まないといけなくなったという理解です。
https://newspicks.com/news/1495500/
②買収したのがAmazonではなく、アリババ。これを期に一気にAlipayを普及させにくる可能性が高く、加盟店手数料0.5%以下✕中国人旅行者を強みに、これから端末を入れる加盟店/国からすると選択せざるをえない状況が作られるはずです。
【中国】AlipayのAntFinancialが約5000億円調達、企業価値は約6.5兆円
http://www.wsj.com/articles/alibaba-affiliate-ant-financial-raises-4-5-billion-in-largest-private-tech-funding-round-globally-1461642246
上のニュースと関連して、AlipayのAntFinancialが5000億円を調達しました。単純に考えると、これで東南アジア各国のTOP-ECを現金で全部買収できる、くらいの資金力を得たことになります。
なお、Visa, Incが約15.9兆円、日本の楽天の企業価値は約1.6兆円です。
【台湾】台湾のファミマでビットコインを買える話は実は奥が深かった
http://coinandpeace.hatenablog.com/entry/bitcoin_and_familymart_in_Taiwan
ビットコインの話題ですが、台湾のファミリーマートでビットコインを買えるようになっているようです。買う理由は、日本のギフトカード//Vプリカ同様、カードを持てない人が海外EC/課金するためのようです。台湾大手のビットコイン取引所の40%がファミマで購入されているとのこと。日本ではFXのようにデイトレでの取引がほとんどですが、こういうところから決済用途で広まっていくシナリオもありえるかもしれません。
なお、ビットコイン残高は約7,720億円、日本では既に日次で20億円程度の取引があります。
http://ビットコイン相場.com/
【日本】徐々に出始めてきたビットコインデビットカード
テックビューロが6.7億円を調達、ブロックチェーン技術mijinを海外へ
http://jp.techcrunch.com/2016/04/28/techhbureau-raises-670million-yen/
プライベートブロックチェーン技術のテックビューロが、調達と提携を発表しましたが、「マネーパートナーズグループ
同社発行のプリペイドカードのビットコイン対応。」とあり、ビットコインでマスターカードプリペイドに入金できるものをリリースされるようです。
他にも、Lemuriaという新生の取引所や、WALTというウォレットもビットコインデビットカードを発表しています。
http://thebridge.jp/2016/03/bicrements-lemuria
http://bankwalt.xyz/
米国でリリースしているShiftPaymentも候補ですね。
https://www.shiftpayments.com/
個人的には、為替変動してしまう通貨で日常利用するのはイメージが湧いていないのですが、ビットコイン自体がある程度広まりを見せる中で、コアなユーザーがいざというときのために財布に入れ出すシナリオはありえると思います。