未来投資戦略2018の決済系企業が関係するところまとめ

» 【カンム紹介】前提知識の平準化のための勉強会
ここでも書いたとおり、定期的に社内向けの勉強会を開いています。
2018年6月に首相官邸から、ことテクノロジーに関係する領域の戦略に関する資料が発布されていたので、それを弊社に関係あるところだけ抜粋して、そこから読み解ける近未来について予想した勉強会を開きました。
その時の資料の抜粋部分だけUPします。
日本国が重点的に投資をして、達成のためのKPIを設定している領域になるので、ただの推測よりも確実性の高い未来を予想することができます。
ついでに、Internet Trends 2018も入れています。

ここから、私の予想を加えて話をしました。
・ECの銀行振込決済がちょっと増える
・個人間送金が普及する ※普及=数年で500万ユーザー
・バーチャルクレカが増える
とかですね。
個人間送金周りは、WATARU会でも話そうと思っているので、ご興味ありましたら是非ご登録ください。
https://wataru.connpass.com/event/94558/

カンムで使ってる事業計画のテンプレを公開します

シード期からシリーズB(IPO前)くらいまでは、社長自ら事業計画を作っているかと思います。
ただ、そのテンプレやお作法は、誰からも教わったことはありませんでした。
(1回、事業計画作りの勉強会にはお邪魔させていただいたことはありますが)
ただ、ちゃんと人に説明できて、かつ細部まで洗い出しを行い、自分で納得感のある事業計画があると、対VC、対社内、諸々が捗ります。
社内向けのメリットはこちらで書いてます。
» 【カンム紹介】事業計画を公開して共通言語を作る
そこで、地味に8期目に突入して、100回くらいブラッシュアップして最近落ち着いた弊社の事業計画のテンプレを公開します。
» 事業計画サンプル(夜は酒も出すラーメン屋)powered by カンム八巻 @8maki
題材はなんとく「夜は酒も出すラーメン屋」にしています。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/15lzMiNXmhDtyP1Hy3HvFq7C1LV_KfWnOGCp8xIIpFzY/edit#gid=0

※Googleにログインして閲覧したらコピーできるので自分でいじってみてください
この事業計画を書くに当たり、7つのルールを設けています。
ルール①売上等の変数を因数分解
ルール②手入力と計算式のセルを分ける
ルール③今後の具体的な施策と影響する変数を明示
ルール④そのまま推移する部分はオレンジ色で
ルール⑤実際の数値は計画と別の列に記載する
ルール⑥複数シナリオ化
ルール⑦年次計画も自動で出るようにしておく

ルール①売上等の変数を因数分解


この事業計画は、売上 – 費用 = 営業利益 というシンプルな構成になっています。
それぞれの項目を因数分解=ブレークダウンして、より詳細なものを記載して精度を上げていきます。
ここでは、
売上 = ラーメン代 + 酒代
= ラーメン平均単価 * 月次注文数 + 酒平均単価 * 月次注文数
= ラーメン平均単価 * (一人当たりラーメン注文数 * 月次来店数) + 酒平均単価 * (一人当たり酒注文数 * 夜の月次来店数)
の数式が前提となっています。
ポイントは、10%±くらいの精度で書ける数値まで落とすこと、です。
月の売上は?と聞かれてもすぐにはわかりませんが、出すラーメンの平均単価は?ならある程度目星がつけられます。
また、spreadsheet上、売上でも費用でも使う共通変数、重要なKPIは上に書き出しています。
ここでは「月次来店数」等です。
なお、実際に始まっていない事業ほど、この変数は細かくブレークダウンしたほうがいいと思います。
気づいていない費用や、変数を出し切るためです。

ルール②手入力と計算式のセルを分ける


手入力すべきセルは青色にしています。
シミュレーションする時にいじるべきセルをわかりやすくするためです。
ルール①で言うところの「ある程度想定できる数値」を入れるべきセルです

ルール③今後の具体的な施策と影響する変数を明示


自分のメモだけでなく、他の人に共有する際にも、いつ何をやるか?を示すために重要です。
また、その施策に応じて、どの変数が影響を受けるのか?を紫色にしておくとより、伝えたいことがわかります。
この場合、広告を打つことで、「時間当来店数(夜)」を7人→8人に見込んでいることを示しています。

ルール④そのまま推移する部分はオレンジ色で

また、今後大きく変動しない変数は、ベースとなる月の数値を参照するようにして、全てオレンジ色にしています。
「時間当来店数(夜)」のベース月が太字なのは、ルール⑥で複数シナリオに対応しているためです。
例えば、広告を打ったとしても、時間当来店数(夜)が8人ではなく、7.5人だった場合、ここだけいじれば今後も方向修正できるようにしています。

ルール⑤実際の数値(実績)は計画と別の列に記載する


この事業計画では、過去の実績も記載しています。
ただ、計画を上書きしていってしまうと、そもそもどういう想定をしていたかわからなくなってしまうため、計画と実績は別の列にして記載しています。
こうすることで、計画(予)と実績の差分がわかりやすくなります。
なお、実績が太字になっているのは、運用上の都合で、既に確定した数値は太字にしているためです。
例えば、外部に依存している数値(水道代等)は、後日確定したものが来るので、確定するまでは当てで入れたりしています。
確定したら太字にする。
この時、行数を減らす工夫として、あるKPIに対する割合で決めちゃうことも多いです。

例えば、雑費ですが、内訳が複雑すぎるので、ざっくり対人件費で割合を出して、今後修正していくようにしています。

ルール⑥複数シナリオ化


この事業計画では、BEST/NORMAL/WORSTの3シナリオも一度に計算できるようにしています。
各シナリオによって、大きく数値が変わり得るものは、下記計算式を入れています。
A1の数値によって、そのセルの数値が変わります。
=SWITCH($A$1, 1, 10, 2, 8, 3, 6)
これは、広告宣伝費を打ったときの、時間当来店数(夜)なのですが、BESTでは、10人、NORMALでは8人、WORSTでは2月より落ちて6人としています。
イメージとしては、BESTシナリオはVC向け、NORMALシナリオは、確度の高いシナリオとして社内向けに作っています。
WORSTは文字通り、最悪のシナリオです。

ルール⑦年次計画も自動で出るようにしておく



月次計画の右下に、年次計画も作っています。
これは、長期の計画を見る時に便利です。
また、ルール⑥の複数シナリオ別に見るとより、アップサイドとダウンサイドがわかりやすくなります。
この時、ルール⑤で計画と実績の列両方あるため、実績列だけに年次を書いておいてその列だけ合計する。
具体的には2018と入っている列だけ合計するように工夫しています。

=SUMIF($H$2:$AT$2, AY$41, $H4:$AT4)

これらを以て、事業計画を立てて、逐一Updateするのがだいぶ楽になりました。
ポイントとしては、行数を増やしすぎないことです。
複雑になりすぎると自分もそうですが、人に見せる時大変です。
ただ、ブログではなかなかエッセンスが伝わらない気もしており、どっかで勉強会を開くのも吝かではない気がしてはいます。

【カンム紹介】事業計画を公開して共通言語を作る

Blogをnoteに引っ越し中
前回に続き、会社で意識していることを書きます。
» 【カンム紹介】前提知識の平準化のための勉強会

前回とも被るのですが、とにかく「前提」を共有することを意識しています。
その中で、いちばん重要なのは会社の方向性を示すもので、それを具体化した事業計画(Excelの月次収益計画)を事業開始当初から全社に共有しています。
短期の今後の計画(戦略・人員計画)や、ビジネスモデル、過去の履歴が全ていじりようのない数値として記載されています。
なお、弊社の事業計画の記載ルールはこっちで書いてます。
» カンムで使ってる事業計画のテンプレを公開します
全社共有することのメリットは3つあります。
①社長以外がプロジェクトの優先順位をつけやすくなる
②会社がいつ黒字化する予定なのか伝えられる
③個別プロジェクト毎にどの程度の予算を考えているか伝えられる

①社長以外がプロジェクトの優先順位をつけやすくなる

何か意思決定をするとき、その決定がどの数値に影響し、売上にどの程度貢献するのかわかるため、”社長以外”が優先順位の判断する時に有用だと思っています。
AとBという次やりたいプロジェクトがあって、どっちがより売上(他KPI)に影響するのか?を各々が考えて決定できると、意思決定量が増えて、よりスピーディな組織になると考えます。
例えば、新規ユーザーを獲得する、既存ユーザーのリテンションを上げる、というどちらかを選ばないといけない時、売上により影響するのはどちらか?という軸を持って判断することができます。
もちろん、短期の売上なのか、1年後の長期の売上を取るのか?という判断もありますが、それもこの事業計画の上でシミュレーションすることができます。
また、「これをやるべき」と社内に伝えるときも、明確な数値のロジックで示せるので、納得感も得やすいです。

②会社がいつ黒字化する予定なのか伝えられる

正直、今弊社の事業計画は120行もあって、細かい計算式を理解できている人はそんなにいないのですが、黒字化しているのかどうか?というのは誰でもすぐにチェックできる数値になります。
特に新しく入った人に説明する時に重要で、「スタートアップである以上現時点では赤字だけど、この前提でこの時に黒字化します」、ということを言えると安心に思ってもらえるかなーと思っています。
また、「よくわからないけど、いつか黒字化すると社長が言っている」状態は健康的ではないと思っていて、いつ黒字化する、をちゃんと説明できるのとできないのとでは、組織の健康状態がだいぶ違う気がします。

③個別プロジェクト毎にどの程度の予算を考えているか伝えられる

現状、会社の重要なKPIを3つに定めていて、それぞれ責任者を作っているのですが、そのKPIを達成するためにいくらまでなら許容できる?ということも伝えられます。
わかりやすいところだと、新規ユーザー獲得の文脈で、「いつまでに”いくらで”何人獲得してほしい」、ということを明確に示せたのは、良かったことでした。

課題:運用コストがまあまあでかい

行数が多いと、説明コストが大きいことです。
週次定例の場などで、逐一説明するようにはしているのですが、自分が数値オタクのため、結構な頻度で修正するため、追っていくのも大変です。
結局、複雑だと誰も見なくなります。
そのため、今後は、事業の精度=解像度が上がるに連れて、行数は減らしていきたいと思います。
いまいまだと、経営陣しか詳細理解できていない部分も多いですが、今後は全社に理解してもらうようにしていきたいですね。
事業計画勉強会の機運、、、