7月 302012
 

[追記. 2013.4.30] 私の所属する会社でもCLOをリリースしました→Kanmu CLO

前回、クレジットカードが次のアプリプラットフォームになる、という記事を書いた。
クレジットカード決済のデータがオープンになり、その上に色々なサービスが乗っかる、という話なのだが、オープンとは言わないまでも、クレジットカードを使った 新しいサービスが次々と生まれている。

中でもCard Linked Offer:カード連携特典(またはMerchant Funded Rewards:加盟店負担リウォーズ)という分野は、既に100以上の金融機関(カード会社、銀行)が利用していて、非常にホットな分野である。

CLOとは?

CLOについて説明する前に、クレジットカードの会員向け特典を思い浮かべてもらえると話が早い。
要は、会員の購買履歴を分析して、その会員に合ったお店の特典(クーポン)を提供し、実際にそのお店でカードで支払えば、自動で割引やキャッシュバックといったサービスが受けられる、という代物である。

会員のメリットは、自分に合った店の特典だけが得られるのと、特典をいちいち紙に印刷して持っていく必要がない点。
お店のメリットは、ターゲットのお客にだけ訴求でき、新たな設備投資やオペレーション変更が必要ない点。
カード会社のメリットは、カード会員一人あたりの利用額を上げられる点。
事実、このプログラムを導入したカード会社の、一人あたりカード利用額が年間で約$500 も上昇したという調査が出ている。

このように関わる3者すべてにメリットがあり、グルーポンの問題を補う新しい販促手段として注目されている。

Cardlytics

アメリカのCLOベンダーの雄は、なんといってもCardlyticsである。
今年のFinovateEurope2012で優勝したのも記憶に新しい。

Cardlyticsがユニークだったのが、クレジットカード明細の目立つ箇所に、特典を入れ込んだところにある。

(via netbanker

上記では、バーガーキングの購買履歴にマクドナルドの特典を表示している。
いわゆるリプレイス広告である。
カード会員は、あとはMy Offersをクリックし、マクドナルドに行ってカードで支払えばいいだけだ。

Cardlyticsは2009年秋にリリースし、今や10以上の金融機関にこのシステムを提供、1億人近くのユーザーにリーチしている。

元々Cardlyticsのファウンダー陣は、Capital Oneというカード会社のマーケ担当者で、テスト運営もCapital Oneから開始している

同様の仕組みを提供している会社に、CarteraSwipelyなどがある。

Amex

多くの金融機関がベンダーにこの仕組みを外注している中、American Expressはこのような仕組みを自前で開発している。
Amexの面白いところは、うまくソーシャルメディアを活用しているところだ。

カード会員は、まずこのサイトで、自分のカードとソーシャルメディアのアカウントを関連付ける。
そして、FacebookやTwitterで流れてきた特典をクリックし、カードに登録しておいて、対象のお店でAmexで支払えば、サービスが受けられる。

Forsquareとの提携は、去年話題を読んだ。
今年の4月にもGrouponと提携し、さらにはZyngaとも提携して、最近非常に攻めている印象がある。

MoneyDesktop

また、CLOはPersonal Finance Managemetとの相性が良いビジネスモデルでもある。

MoneyDesktopはまさに、PFMにCLOを統合したサービスだ。
今年5月のFinovateSpringでWinnerを取っていた。

要は、PFM上でも購買履歴を抽出できるので、それを分析してユーザーに合った特典を提供する。
その仕組みを主に金融機関向けに販売していて、大口顧客はVISAのプリペイドカードらしい。

彼らの強みは、なんといっても一つのカードに縛られない点だ。
AmexはAmexの購買履歴しか使えないが、MoneyDesktopではユーザーの全てのカード・口座を引っ張ってこれ、より高度なマッチングが行える、と書いてある

ただ、ユーザーとして、すべての購買情報が一箇所に集められ、それを分析されるというのには、一抹の不安が残る。
今後どのようにこのサービスが進化していくのか、どういう課題にぶち当たるのか、見守りたい。

日本の状況

日本ではCLOは行われているのか?

現状、特に購買履歴を分析してうんぬん、カード明細に特典を載っけてうんぬん、という話は聞かない。

むしろ、カード会社のポイントモール戦争が激しさを増している。
ポイントモールというのは、そのサイトを経由してAmazonなどのECサイトに行き、その会社のカードで払うとポイントが2〜30倍付く、というものである。
最大のポイントモール、永久不滅.comでは、既に年間500億円以上の流通額を誇っている。

日本の場合、個人情報の扱いが米国よりも厳しいため、購買履歴の分析は慎重になっている印象があるが、貸金業法改正による売上下落もあり、徐々にデータを使ったマーケティング会社へと変貌していくのではないか、と個人的には思っている。

 

あと、アメリカの話に戻るが、LocalBonusというサービスも興味深い。

» クレジットカードで各店舗のポイントカードを一括管理!


  One Response to “アメリカのカード連携特典(CLO)サービスまとめ”

  1. 突然のご連絡恐れ入ります。
    私は慶応義塾大学商学部一之瀬ともうします。
    現在卒業論文に取り組んでおり、以下のデータを探しております。
    2点伺いたいことがございます。

    1点目は、CLOを導入したカード会社が1人当たりカード利用が年間で約500ドル上昇した
    とありますが、その上昇したという根拠になるデータをお持ちでしたらいただけませんでしょうか。

    2点目は、アメリカでのCLOは、会員の購買履歴を分析して会員に合った特典(クーポン)を提供とありますが、代表的なものでどのようなものがあるか(利用率が高かったクーポン等)あれば教えていただきたいです。

    以上よろしくお願いいたします。

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